3月になると、
カラスノエンドウがぐんぐん伸びてきて畑を覆う。
カラスノエンドウはマメ科の一年生雑草。
秋に種から芽が出て、葉は小さいまま越冬する。
春に大きく成長して紅紫色の花が咲き始めたら、
よく見てみよう。
緑っぽい色をした小さな虫がびっしりくっついている。
体長は約2.5ミリ。
ソラマメヒゲナガアブラムシだ。
黒っぽい色をしたマメアブラムシも混じっていることが多い。
1.5~2ミリぐらいの大きさで、群がってマメ科の植物の汁を吸っている。
アブラムシは、
カラスノエンドウの新芽あたりに多いアミノ酸を目当てに集まってくるようだ。
葉の基部に托葉があり、
托葉の中央部にある黒紫色の腺点からは花の蜜を分泌しているらしい。
この蜜でアリを引き寄せ、害虫から身を守っている。
ところが、アブラムシにはこの作戦は役に立たない。
カラスノエンドウに群がったアブラムシを踏んづけながら、
アリは活発に動き回っている。
📖
アリはアブラムシの排泄物(甘露)をもらうために、
テントウムシなどの外敵から守っている。
甘露の中には、脳内アミンの1種ドーパミンが含まれているらしく、
甘露を摂取したアリの攻撃性が上がるというから驚きだ。
アリの攻撃性を操作し、共生関係を維持しているというわけだ。
参考文献:
アブラムシが甘い蜜で随伴アリを操作していることが判明
北海道大学大学院農学研究員 准教授 長谷川英祐
アブラムシとカラスノエンドウという組み合わせだけでも
複雑で難解な生態系が成り立っているわけなのだが、
不思議なことがありまして。
畑一面カラスノエンドウに覆われているのに、
アブラムシがいるところといないところは、
壁があるかのように畑の中でくっきり分かれている。
ここから向こうはいないけど、ここからここまではいる。
なんでなんだろう?