暖かくなると、アリが地表に出てきて活発に動き始める。
よく道端や建物の中でアリが列になって連なっているのを見かけるが、
畑にいるアリが列を作って移動しているのは見たことがない。
どこから見つけてくるのか、次々に虫の死骸を運んでいる。
はじめは数匹でも、すぐに他のアリたちがやってきた。
穴の中から、おびただしい数のアリたちがどんどん出てくる。
捕らえられているのは、ウヅキコモリグモ。
畑の草むらの中にいて、
巣を作らず、歩き回ってガの幼虫などを食べている。
畑の害虫にとっては天敵である。
アリたちは枯れ草の中を右に左に移動して、
クモと一緒にひっくり返り、
アリ同士で引っ張り合いになりながら、
そうして、
クモの亡骸は穴の中へ引きずり込まれていった。
体長約5ミリ、この黒いアリたちはクロヤマアリ。
地中に巣を作り、その深さは1~2メートルにもなるという。
一つの巣に1万匹以上いるらしい。
草のあまりない地表が見えているところに巣の入り口があることが多い。
畑のあちこちに直径1~2センチほどの小さな穴が空いている。
綿の種を蒔こうと草を刈ると、アリがいる。
ここはダメだ…
草をかきわけると、小さなアリの大群。
土の中に巣を作らないアリもいる。
刈った草の下を好むようで定住する巣を持たず、
畑に集団で点在している。
街中でもよく見かけるアミメアリも巣穴を持たない。
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綿芽の隣でミミズを捕獲するアリ |
発芽したばかりの綿の小さな芽。
その隣でミミズを捕獲して取り巻いているアミメアリの大群。
獲物を見つけたものの、ひとまず通り過ぎてゆくクロヤマアリ。
ミミズを奪おうとすれば、逆にアミメアリから攻撃を受けることになる。
体長は約2.5ミリ。
小柄だけれど、数で勝利する。
春になると、小さな白いタマゴを抱えてウロウロしているアリもいる。
見つけたら、かきわけた草を元に戻しておく。
ここもダメだ。
アリの巣を避けながら、種を蒔いていく。
ここもダメか。
アリはどこにでもいる。
どういうわけか、
アリが活発に動き出すこの時期こそが綿の種まきの適期。